【レジェンダリーファイターOTK】のこれまで
こんにちは、おじさんです。
皆さんは、《レジェンダリーファイター》というカードをご存知でしょうか?
今から約3年前、『蒼空の騎士』にて実際されたニュートラルのレジェンド・フォロワーです。
こちらが《レジェンダリーファイター》のテキストです。2コスという軽さながら、盤面に存在する状態で「他のフォロワーが進化」「スペルをプレイ」「アミュレットをプレイ」の3つの条件を満たすことで10/10の2回攻撃という怪物フォロワーに化ける、実にレジェンドらしいド派手で豪快な効果を持っています。
その軽さに反した条件達成時のリターンの大きさに刺激されたプレイヤー達により、早期に《レジェンダリーファイター》の3つの条件をクリアすることに特化し20点OTKを狙う【レジェンダリーファイターOTK】が考案され、今日まで研究が続いています。
今回は、そんな【レジェンダリーファイターOTK】のこれまでの歩みについて振り返っていこうと思います。
BOS〜ALT期…2/2/2必殺突進だった時代
前述の通り、『蒼空の騎士』にて実装された《レジェンダリーファイター》。このカードの情報公開時、そのド派手なテキストが多くのプレイヤーの目を引きました。しかし、この時点で【レジェンダリーファイターOTK】が成立することはありませんでした。
それはなぜか?答えは、「フォロワーの進化」という条件のキツさです。
知っての通り、進化というアクションは通常後攻4ターン目以降で無ければ起こせません。「他のフォロワーの進化」という条件を満たした《レジェンダリーファイター》を「最低でもPPが5あり」「進化権を切れる」状態の相手にターンを渡し生き残らせる。これがどれほど辛い要求か、シャドウバースプレイヤーなら全員が理解できるでしょう。
また、当時はまだまだカードプールも狭く、後4以前に進化できるフォロワーは、相手の盤面に依存する《スノーホワイトプリンセス》ぐらいしかいませんでした。そのため、対処が難しい早いターンの内に条件を達成する、というプランも現実的ではありませんでした。
つまり、この時代においては、【レジェンダリーファイターOTK】はそもそも物理的に構築が不可能だった(※)のです。
※《レジェンダリーファイター》による早期のOTKを狙うというプラン自体は、【聖獅子ビショップ】において、前述の《スノーホワイトプリンセス》を0コスアミュレットである《封じられた法典》と共に採用する、という形で取り入れたケースが無くも無かったようです。
そのため、この時代における《レジェンダリーファイター》は、「10/10の2回攻撃化は無理して狙わず、必殺+突進を容易に達成できるデッキで除去札として採用する」といった使われ方が主でした。実際、アミュレットとスペルを多用する【聖獅子ビショップ】において採用実績を残しています。
また、他のフォロワーの進化時の2回攻撃に着目し、エルフデッキにおいて相性の良い《エルフの鍛治師・レーネ》と共に採用されるケースもありました。
いずれにせよ、この時代の《レジェンダリーファイター》は、派手なテキストには見合わない堅実な働きをしていたカードと言えるでしょう。
STR期…【レジェンダリーファイターOTK】誕生
転機となったのは『鋼鉄の反逆者』期。同弾のドラゴンクラスのゴールド・フォロワー《飛翔の竜人》の登場により、ついに【レジェンダリーファイターOTK】は成立しました。
こちらが《飛翔の竜人》のテキストです。1コスという軽さで、相手に依存せずかつ早期に自動進化を行えます。
《飛翔の竜人》の登場により、「早期に《レジェンダリーファイター》の3つの条件を達成する」というプランが現実的なものとなり、【レジェンダリーファイターOTK】は産声を上げました。
こちらが当時のサンプルリストになります。(当時は《鏡の世界》と《憤怒の竜帝・乙姫》は能力変更前です)
軽量スペル・アミュレット共に不足している、という欠点を抱えており、まだまだ完成度は低いと言わざるを得ませんが、この時点で「1竜人、2レジェファイ、3アミュ+スペル」の基本の動きは完成しています。このムーブから繰り出される最速4ターンキルというコンボデッキにあるまじき速度は、当時のゲームスピードにおいては脅威的としか言いようがありません。
かくして、【レジェンダリーファイターOTK】は最速4キルを掲げ、鮮烈なデビューを飾りました。
VEC期…「2カウントスペル」概念の登場・【レジェンダリーファイターOTK】大幅強化
【レジェンダリーファイターOTK】第二の転機となったのは《レジェンダリーファイター》がローテーション落ちを迎えた『森羅咆哮』期。この弾では1コストアミュレットであるトークンカード《ナテラの大樹》の活用がテーマとなっており、このカードを手札に加えるカードが各クラスに配られました。
《ナテラの大樹》シナジーカードの一種である《ワイルド・マナ》と《荒野の休息》のテキストです。見ての通り、1枚と2PPでスペル・アミュレット双方のプレイを達成できます。これらの「2カウントスペル」の登場はまさに革命的でした。
これまでは《レジェンダリーファイター》の条件達成の為に「スペルとアミュレットの双方を手札に抱え、なおかつどちらか一方は1コスでなければならない」という重い要求を乗り越えねばなりませんでした。ですが、2カウントスペルの登場により条件達成のハードルは大きく下がることとなりました。
直前の『リバース・オブ・グローリー』期では、1コストアミュレット《竜の財宝》の追加を諸手を挙げて喜んでいたことを踏まえると、この2カウントスペルの登場がいかに革命的か分かるのではないでしょうか。
こちらが当時のサンプルリストになります。(当時は《鏡の世界》は能力変更前です)
前述の2枚に《猛火のティラノサウルス》を加えた3種9枚の2カウントスペル採用により、構築は大きく変化しました。滑らかな動きを大きく阻害する2コスのスペル及びアミュレットはドロースペルを除いてデッキから排除され、《レジェンダリーファイター》の条件達成の確率が大きく上がることとなりました。
この構築の変化により、1ターン目に《飛翔の竜人》を置けなくとも「3ターン目に竜人+スペル+アミュをプレイする」というプランがかなり取りやすくなったのも大きな進歩です。
2カウントスペルの登場した『森羅咆哮』期、【レジェンダリーファイターOTK】はようやくデッキとしての完成を迎えることとなったと言えるでしょう。
UCL〜DOV期…細々と強化を貰う
「2カウントスペル」という革命的な概念の登場により完成を迎えた【レジェンダリーファイターOTK】。「2カウントスペルと1コスでデッキをなるべく埋める」という構築が確立したこともあり、『暗黒のウェルサ』期まで構築が大きく変わることはありませんでした。
『十天覚醒』にて1コスドローの《神魚・ディズレスタン》と《レジェンダリーファイター》への攻撃を防げる1コス結晶《ティアマト・マグナ》を得たことは大きな強化と言えますが、やはり『森羅咆哮』リリース時ほどの大きな変化はありませんでした。
こちらが『暗黒のウェルサ』期のサンプルリストとなります。
『森羅咆哮』期のリストと比べると、新たな1コスドローである《蛇竜の契り》《神魚・ディズレスタン》《記憶の軌跡》の登場により2コススペルがディスカードシナジーのある《光の道筋》のみとなり、デッキ全体の軽量化が進んでいるのが見て取れます。
しかし、前述の通りデッキ構築の考え方そのものは『森羅咆哮』期と変わってはおらず、事実両シーズンのサンプルリストを比較すると、入れ替えられたカードの大半は「ドロースペル」「1コスアミュレット」など、役割の被っているものだということが分かります。
【レジェンダリーファイターOTK】にとって、『アルティメットコロシアム』〜『暗黒のウェルサ』期は、良くも悪くも大きな変化には乏しい1年半だったと言えるでしょう。
RSC期…そして現在へ。2カウントスペル増加と竜人サーチ獲得
『森羅咆哮』以来、あまり変化の無かった【レジェンダリーファイターOTK】。奇しくも、【レジェンダリーファイターOTK】に大きな影響を与えた2つのセットの舞台への再訪が行われた『リナセント・クロニクル』収録のカードにより、久方ぶりの大きな強化が入ることとなりました。
こちらが【レジェンダリーファイターOTK】を大きく強化した《アイアロンの残骸》のテキストです。待望の《飛翔の竜人》サーチカードであり、また2カウントスペルでもあるという、まさに【レジェンダリーファイターOTK】の改革の為に生まれてきたと言っても過言ではない1枚です。
これまで3ターン目までに素引きする他無かった《飛翔の竜人》を(1ターン目に置けることが前提とはいえ)6枚積めるようになったことは、2カウントスペル登場以来の衝撃的な出来事です。「フォロワーの進化」の助けとなるカードが実装されたのは、《飛翔の竜人》本体の実装以来のことだったのです。
これまでネックだった「《飛翔の竜人》が引けないせいで条件を達成できない」という問題は、この《アイアロンの残骸》の登場で一気に解決に近づくこととなりました。また、前述の通り2カウントスペルである点も優秀で、同弾登場の《ナテラの未来》と併せ、《アイアロンの残骸》スタートの3竜人進化プランの大きな助けとなってくれます。
こちらが現在のサンプルリストとなります。
1コスドローと2PPの2カウントスペルを敷き詰め、とにかく条件達成を狙う形となっています。《飛翔の竜人》が6枚体制になったことがやはりかなり大きく、以前に比べOTK成功率が増加しています。
このリストは除去を全て切っていますが、相手が展開したフォロワーへの対策が《ティアマト・マグナ》結晶だけでは不安な場合は、3ターン目にしか使えない《記憶の軌跡》を《ブレイジングブレス》や《侮蔑の炎爪》に変えることをオススメします。
というわけで、【レジェンダリーファイターOTK】について振り返っていきました。
成立から現在に至るまで、ドラゴンクラスで構築されてきた【レジェンダリーファイターOTK】ですが、近年では他クラスにも《フラワリングマジシャン・マリー》や《マウンテンドール》など、早期の進化を実現するカードが実装されています。
もしかすると、ウィッチやネメシスで構築された【レジェンダリーファイターOTK】が現れる日も、そう遠くはないのかもしれません。
ここまで目を通していただき、ありがとうございました。